川沿いで遭遇した注意看板、ぶっ飛んだルビに目を疑う 「完全に水樹奈々」と話題に…

関西地方で遭遇した看板、水樹奈々を連想させる「奇妙なルビ」に思わず目を疑ったが…。ネット上では「思わぬ配慮」に称賛の声が寄せられていた。

2023/03/15 04:45

漫画作中における漢字の中には「難読」といって差し支えないレベルの熟語も存在する。日本人の9割以上が読めなかった「不運と踊っちまった」(ハードラックとダンスっちまった)は、その最たる例だろう。

しかし現在ツイッター上では、現実世界にて発見された看板の「驚異的なルビ」に、ツッコミの声が寄せられているのだ…。

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■この看板、あまりに奇妙すぎる…

今回注目したいのは、ツイッターユーザー・sin8さんが投稿した1件のツイート。

「水樹奈々の歌みたいなルビふりやがって」と意味深すぎる1文が綴られた投稿には、赤文字で大きく「危険」と書かれた看板の写真が添えられている。真面目極まりない警告の看板なのだが、注目すべきは一部漢字のルビ表記。

天ヶ瀬ダム

冒頭の「この貯水池の水位は、発電のため」という部分にはルビがないものの、その後の「変動」には「あがりさがり」、「危険」には「あぶない」、「十分御注意」には「よくきをつけて」といった具合に、珍妙すぎるルビが使用されているではないか。


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■「奈々語で警告」と話題に

ツイート本文にも名前が出てきた声優・歌手の水樹奈々は、圧倒的なパフォーマンスはもちろん、歌詞内で見られる「独特すぎるルビ」にも定評がある。

「運命」と書いて「レール」、「人生」と書いて「シナリオ」などのユニークな読みが一例だが、カタカナ表記の読みであれば、比較的かわいいもの。

上位種になると「夢」と書いて「おと」、「奇跡」と書いて「あす」、「未来」と書いて「ゆめ」といった具合に、義務教育で習った漢字の概念を根底からぶち壊すフレーズが多数登場するため、間違っても「漢検」の前日などには歌詞を確認してはいけない。

そうした背景もあり、強烈に「水樹奈々み」を感じさせる看板は、多くの人々の注目を集める事態に。他のツイッターユーザーからは「奈々語で警告は笑った」「『変動』と書いて『あがりさがり』はセンスありすぎ」「ぜひこの歌詞で歌ってほしい」といった声が多数寄せられていた。

一方、こうしたルビでなければならない「切実な理由」がある、と指摘する人も決して少なくなかった。そこで今回は、話題の看板を管理する京都の淀川ダム統合管理事務所「天ヶ瀬ダム管理支所」に詳しい話を聞いてみることに。

すると、ルビに込められた「素晴らしい思い」が明らかになったのだ。


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■雨が降ってなくても「水位が変わる」ワケ

今回話題となった看板は、京都宇治市の天ヶ瀬ダム付近で発見されたもので、ツイート投稿主・sin8さんは「天ヶ瀬ダムに繋がる瀬田川沿いにありました。厄除けで有名な、立木観音さんの入り口辺りです」と、当時の様子を振り返っている。

今回の取材を快諾してくれた天ヶ瀬ダム管理支所長は「まず前提として、天ヶ瀬ダム貯水池の右岸側(下流に向かって右側)の山間部に、関西電力が管理する『喜撰山ダム』があります」「この喜撰山ダムを上部調整池、天ヶ瀬ダムを下部調整池として、関西電力が喜撰山発電所にて揚水発電を行っています」と、ダム周辺の環境について説明。

前出の「揚水発電」とは、深夜など低負荷時の余力を利用して下部調整池の水を上部調整池にくみ上げておき、電力のピーク時にその水を降ろして発電する仕組みだという。

そうした背景があり、天ヶ瀬ダムの貯水位は雨が降っていなくとも、短時間に大きく上がり下がりする特徴があるのだ。その変化は、最大で約3.4mとなる。

話題の看板はかなり古いもので、設置年度などの詳細は不明だが、天ヶ瀬ダム貯水池の周辺には同様の看板が25枚設置されていると判明。関西電力が喜撰山発電所の運転を開始したのは1970年(昭和45年)のため、内容の変化はあったかもしれないが、注意書きの看板自体は50年以上前から存在していたと思われる。


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■「謎ルビ」採用の経緯に思わず納得

天ヶ瀬ダムの環境について説明した管理支所長は、前出の説明を踏まえつつ「河川は様々な方が利用されることから、水位の変化に関する危険を知らせるため、より分かりやすく表現するための工夫がなされてきたものと考えます」とのコメントを寄せてくれた。

天ヶ瀬ダム

確かに、子供達や日本語に不慣れな外国人にとって、馴染みない漢字や熟語は難解なもの。そうした人々への配慮を重ね、直感的に理解しやすいルビを採用したのだろう。

貯水池の近くを訪れる際の注意点について、天ヶ瀬ダム管理支所は「繰り返しになりますが、天ヶ瀬ダムの水位は雨が降っていなくても大きく上がり下がりすることがありますので、河川を利用される際には十分お気を付け下さい」「水位が上昇する前に警報放送が鳴ります。警報放送が鳴ったら川からは離れるようにしてください。また、足元が不安定な場所や、見えない場所には近づかないようにしてください」と呼びかけていた。

「文字の読み方」を補足する際に使用されるルビは、今回のような「熟語の意味」を分かりやすく説明する際にも用いられる。ひょっとしたら水樹の楽曲も、そうした配慮のうえで変わったルビを採用しているのかもしれない。

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■背景を知った上で看板をもう一度見ると…
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