気象庁「生物季節観測」の大幅縮小、原因は予算? 今後に期待されるのは…

カズレーザー著のクイズ問題集にも掲載されている「生物季節観測」。来年1月からは大幅に変更される予定も。

2020/11/12 09:40

カズレーザー・千種ゆり子

気象予報士の千種ゆり子です。

10月末、芸能界最強のクイズ王、メイプル超合金のカズレーザーさんが初の著書『カズレーザーが解けなかったクイズ200問』を発売。クイズ番組での共演をきっかけにカズレーザーさん主催のクイズ勉強会に参加させて頂いており、先日著書を頂きました。

その中に1問お天気クイズがあり、気象庁は桜の開花以外にも様々な動植物の観測(生物季節観測)を行っていることが紹介されていますが…。カズレーザーさん、残念。じつは、その問題、もう来年の1月から使えなくなります。


画像をもっと見る

 

■大幅縮小の原因は予算?

気象庁は11月10日、生物季節観測の大幅縮小をホームページ上で発表しました。2021年1月以降、植物に関しては6つに限定、動物は全て廃止されます。これについて気象庁は、周辺に標本木を確保することが難しくなってきているためだ、などと説明しています。

生物季節観測

この件について、TBS『Nスタ』に出演中の気象予報士・森田正光さんは「動物季節観測の全廃止はやりすぎだ」「率直に言って、そこまで予算に困っているのか!」と怒りをあらわにしています。

森田さんの質問に対し気象庁は「予算が厳しいためではない」と回答していますが、気象台の構内や周辺などに標本木を設置することくらい、やる気になればできるはず。やはり私も、お金がないんだな…と思ってしまいます。


関連記事:台風12号の予報は”大外れ”? 気象予報士は何を根拠にどう伝えたのか

 

■至上命題は「気象災害から人の命を守る」

近年の気象庁の動きから私が感じるのは「“人の命を守るという至上命題”に絞って、限られた予算と人員を割く」という姿勢です。

大雨・洪水・台風
(rssfhs/iStock/Getty Images Plus/写真はイメージです)

気象庁×人の命を守る、という観点でまず思い浮かぶのは、台風や大雨などによる気象災害や気象防災でしょう。

気象予報精度向上のためのモデル開発、予報を市民に伝える伝達網の整備など、課題が山積しています。「市民の命を守る気象庁にもっと予算を回せ!」と言いたいところではありますが、気象庁は限られた予算の中で「集中と選択」を迫られていると思います。

気象キャスターとしては、放送やコラムで扱ったことのある項目も多いですので、もう少し残してほしかったなというのが正直なところですが、気象災害の激甚化・緊縮予算などの直接的背景、はたまた人口減少やデジタル化という社会の流れから考えると、仕方ないことだと私は思います。

Amazonタイムセール&キャンペーンをチェック!

次ページ
■期待される“シチズンサイエンス”
クイズ気象予報士気象庁カズレーザー森田正光千種ゆり子生物季節観測動物季節観測気象災害シチズンサイエンス
シェア ツイート 送る アプリで読む

人気記事ランキング