24年ぶり武道館公演 アラフォーの青春バンド「PERSONZ」に直撃インタビュー

みんな、PERSONZの武道館への『夢の凱旋』を目撃しようぜ!

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オレは、今、猛烈に感動しているッ! 「DEAR FRIENDS」などのヒット曲で知られるPERSONZが、24年ぶりに日本武道館でライブをするのだ。

しかも、事務所の力を借りずに、自分たちでブッキングしたという。久々にメジャーから出すニューアルバム『夢の凱旋』(ユニバーサル・ミュージック)も話題のPERSONZ。

ボーカルのJILLとベースの渡邉貢を直撃インタビューした。彼らの想いを、受け止めて欲しいッ!


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■あの名曲は逆境から生まれた

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常見陽平(以下、常見):今日はお会いできて光栄です。約25年くらい前、私が中学生だった時からファンでした。

JILL:ありがとうございます。

常見:今日は、26日に開催される武道館ライブやこれからの活動について、たっぷりお話できればと思います。まずPERSONZといえば、「DEAR FRIENDS 」です。今日はお二人に、感謝したいんですよ。

渡邉貢(以下、渡邉):はい。

常見:10代だった頃、この曲に救われたんですよ。「DEAR FRIENDS」と言いつつ、思春期の友だち関係って、いいことばかりじゃないですよね。そんなときに、この曲を聴いて、何か救われた感じがして。涙まで出てきました。

TVでMVがかかっていたのを録画して、何度も見ましたよ。PERSONZはJILLさんの、あたたかくて、でもパンチのある声、七色のギタリスト本田毅さんのギター、貢さんと藤田さんの気持ちいいリズムセクション、疾走感が好きでした。

JILL:ありがとうございます。

常見:作詞はJILLさん、作曲をしたのは貢さんですが、この名曲はどうやって生まれたんでしょう?

JILL:実はいろいろあったんですね。84年にPERSONZを結成して、85年に今の4人体制になりました。

当時はまだインディーズバンドで、でも、サポートしてくれる事務所もいて、音楽家として次のステージに羽ばたける寸前でした。そんな中、私が傷害事件に巻き込まれたんですよ。

常見:え・・・。

JILL:メジャーデビューも難しい状況になってしまいました。

常見:普通のバンドなら解散してもおかしくないと思います。

JILL:私も入院していた頃は、復活できるなんて考えていませんでした。渡邉君だけはプロ志向でしたが、他のメンバーはまだ大学生でしたし、普通の生活を選ぶことだってできます。

それでも彼らは私が退院するまで、必死に練習を続けてくれたんですね。鼻っ柱の強い娘がいきなりどん底に落ちて、そこからまた仲間に助けられて感謝して。

それがもう本当に嬉しくて、嬉しくて。その時の思いを歌詞にしてぶつけたのが「DEAR FRIENDS」でした

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常見:そんなことが・・・。

JILL:渡邉君はあれがPERSONZに参加して初めて作った曲です。だから、私は神が降りてきたんじゃないか、そんな風に感じました。

渡邉:究極のビギナーズラックだったと思います(笑)。あの曲は、デモテープ時の内容ほぼそのままで、発売しました。今考えるとあり得ないですよね。

常見:ロックの神様が降りてきたのかもしれませんね。ドラマの主題歌に選ばれたのをきっかけにPERSONZの名前は日本全国に広がったと思います。もともとタイアップは予定されていたのですか?

JILL:それがまったく逆でして。当時、いきなりTBSのプロデューサーから連絡を頂いて、お願いされたんですね。ドラマのほうが曲に合わせるような感じでした。

常見:ドラマで流れるイントロのオルゴールのメロディが素敵でした。懐かしい。

JILL:全国的に広がったのはそこからですね。アクシデントにあって、どん底に落ちましたけど、やっぱりそれがないとあの曲は生まれませんでした。悪いことは起きているんだけど、私たちにそれを跳ね返すやる気も負けん気もあったから出来た曲でしょうね。

常見:何十年も愛される名曲だと思います。ライブでも一番の盛り上がりを見せていましたね。

JILL:そうですね、私が特に印象的に残ったのは新宿ロフトでのライブです。あそこはあの事件が起きた場所ですから、来てくれたファンのみなさん、スタッフ、そしてメンバーも並々ならない気持ちがあったんですね。

だから、あのライブをきっかけに吹っ切れたというか、前進できたんだと思います

渡邉:やったときの感触もすごく良かったですよね。

JILL:うん、リアルだったよね。

常見:そんなタイミングであの歌詞を歌われたら、参加したファンは胸からこみ上げてくるものもあったでしょうね。

JILL:語彙もあまり使っていなくて、すごくシンプルな曲だけど、みんな涙してくれるんですよね。不思議な曲です。


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■JILLがロックに目覚めた武道館

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常見:昨年12月にPERSONZが武道館に帰ってくると聞いた瞬間は涙が出ました。

JILL:24年ぶりの武道館ですよ。

常見:JILLさんにとって、武道館にはどんな思い入れがあります?

JILL:うーん、やっぱり私が最初に「ロックに目覚めた場所」が武道館ですね。最初にロック・ミュージックを経験したのがあそこでした。

常見:初めて行ったのは、誰のライブだったんですか?

JILL:エアロスミスです。友だちが連れていってくれたんですけど、当時の私はまだ17歳で、学校も楽しくなく、これから自分がどんな大人になりたいか模索している最中で。音楽も歌謡曲しか知りませんでした。

そんな私でも、ライブが終わった後に、「ロック・ミュージシャンになろう」と思うような、そんなすごい迫力がありましたよ。

常見:初めて出会ったロックが、人生を変えた最初の音楽だったわけですね。さきほどのエピソード含めて、何だかPERSONZはロックの神様に祝福されているような気がしました。

JILL:でも、それまではまったく知りませんでしたからね。だから、最初にエアロスミスの名前を聞いたときも、「エアロ・スミスさん」という個人のアーティストがやってくるんだと思っていましたよ。

一同:(笑)

JILL:それだけ人生を変えてくれるロックって、やっぱりすごいと思います。だからやめられないですよね。


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■最初の武道館は、まったく覚えていない。今度の武道館は特別

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常見:これまで2度、PERSONZとして武道館に出演されたお二人ですが、どう振り返りますか?

JILL:実はまったく覚えていません。急に人気に火がついて、あっという間に全国ツアーや武道館が決まってしまって、とにかくなすがまま

渡邉:バンドブームもあって、本当に忙しかったですよね。アルバムも年に2枚は制作していましたから。

常見:音源のリストを見なおしたときに驚きました。そうですよ、いっぱい音源が出ていましたよ、当時。高校は軽音だったのですが、先輩がせっせとバンドでコピーしていました。今、思うと当時の活動量は異常です。

渡邉:だから、武道館のライブにひたることは出来ませんでしたね。その翌日にも別のライブが予定されていますから、流されていくような感じでした。

常見:渡邉さんにとって、PERSONZとして記憶に残るライブはなんですか?

渡邉:僕も新宿ロフトの2dyasですね。そういう時代のときのライブのほうが、積み重ねてきたものがちゃんと形になったという実感があります。

JILL:そういう意味で、やっと味わえるのは今回の武道館が初めてでしょうね。24年たって、場数も踏んだし、テクニックも昔とは比べ物になりません。だから、私たちもそうだし、お客さんもみんな納得できるような、そういうライブになると思っています。

常見:2011年7月に新潟で開催されたライブでは「結成30周年となるとき、もう一度武道館でライブをやる!」と宣言されていましたね。本当に達成してしまうわけですが、もともとそんな計画はなかったわけですよね。

JILL:まったくありませんでしたね。その年は震災もあって、私たちもショックでしたし、ライブに来てくださったお客さんたちもどこか暗い表情をしていました。でも、ライブが終わったあとは、お客さも少し明るさを取り戻していて……。

それだけが救いでした。あとは自分の中で、30周年のタイミングに武道館でライブが出来れば、PERSONZをやめてもいいと思っていましたね。

常見:そんなふうに考えられていたんですね。

JILL:それが自分の中で唯一の目標になりました。ただ、新潟のライブでそれを宣言したのは、もう私が感極まって言ってしまったことなので、他のメンバー、スタッフはみんな驚いていましたね。

当時の私だって、実現できるなんて思っていなかったですから。

常見:でも、それがまさか実現してしまうわけじゃないですか。

JILL:ついてきてくれたみんなにとても感謝しています。

常見:武道館のライブが正式に決まったのはいつですか?

JILL:去年の9月頃です。それでファンに発表したのが、11月のツアーファイナル公演の渋谷クラブクアトロでした。

常見:JILLさんの夢が叶って、ファンたちも感動したでしょうね。

JILL:こっちは軽く言ったつもりなんですが、それでも反応はすごかったですね。どーっと返ってきて。受験で合格発表が決まった娘を見る親のようでした

常見:すごくいい例えだと思います。

JILL:みんな声も出せないくらい盛り上がっていて。泣いている人のほうが多かったですね。


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■PERSONZの「未来」が決まる6月26日

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常見:今月26日の武道館は最初から最後まで、PERSONZのみなさんが深く関わって作っていくライブですが、苦労もあったのでは?

JILL:もう苦労だらけでした。武道館を目指すためには、どんな人に協力していただいて、どんな手続きを踏めばいいのか、すべて手探り状態です。

その過程で私たちはたくさんの人の手を借りて、ライブが出来ているんだと、今になってやっと知ることができました。

常見:「DEAR FRIENDS 」 じゃありませんが、そこで支えてくれる人たちがJILLさんにとっての仲間だったんでしょうね。

JILL:こんなに色んな人たちが協力してくれるとは思いませんでしたもん。

常見:本番がせまってきました。どんな武道館にしたいですか?

JILL:武道館を機にPERSONZを終わらせると言いましたが、まだ自分の中でも本当にどうするかはっきりしていません。

ただ、これが最後になるかもしれないと考えると、やっぱり自分たちもそうだし、お客さんも納得できるような、そんなライブにしていくつもりです。

この武道館がちゃんと無事、終わったあとに次のPERSONZの今後が決まると思いますね

JILL:それを決定づけるのが6月26日なんでしょうね。

常見:武道館で新しい可能性が生まれると信じていますよ。私、今回の武道館は、本当に「良い武道館」だと思うのですよ。

渡邉:どういうことですか?

常見:変な話ですけど、武道館ライブって「良い武道館」と「悪い武道館」があるよねって、友人のミュージシャンと話していたのですよ。

後者について言うと「デビュー◯ヶ月で武道館」みたいな実績を作るために、キャパをうんと減らしてライブやる人とかいるじゃないですか。そういうのは嫌だなあ、と。

武道館ってやっぱり夢のステージだし、ビートルズ、キッス、エアロスミス、チープトリック、永ちゃん・・・。数々のアーチストが伝説を作ってきましたよね。それを安易に使うなよっていう、そんな想いもあるわけです。

例えば、デビュー最遅で武道館をやった怒髪天とか、デビュー20周年で武道館をやったthe pillowsの武道館とかは、「良い武道館」だなあって思うわけです。今回の24年ぶりの、しかも自主開催の武道館は、「良い武道館」だと思いますよ。

渡邉:ありがとうございます。


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■5年ぶりのアルバム『夢の凱旋』の想い

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常見:JILLさんの考える今回の武道館の魅力はどんなところでしょう?

JILL:今月5年ぶりのアルバム『夢の凱旋』をリリースすることができました。色んな人に助けていただいて作れた素晴らしいアルバムです。

この中に収録されている「Alone」は、「DEAR FRIENDS」裏側にある世界を描いているんですね。「DEAR FRIENDS」では、「仲間がいるからきっと大丈夫、どんなことでも乗り越えていける」と自分に言い聞かせるように作った歌詞なんですね。

ただ私にも弱いところがあるので、いくら奮い立たせようとしても「もうだめなんじゃないかな?」「もう続けられないかもしれない」と感じることもあります。

そんな当時の自分の内面に焦点を当てた曲です。当時の嬉しいことも、つらいことも、すべてひっくるめて表現できるライブはこれが最初で最後かもしれません。

常見:アルバムのタイトルの『夢の凱旋』という言葉も、まさに今回のタイミングにふさわしいと思います。

JILL:実際に武道館にどれくらいのお客さんが集まるのかは蓋を開けてみないとわかりません。それでも最高のライブになることは間違いないと思います。

私もファンの子たちもたぶんボロボロに泣いちゃうんじゃないかな。アルバムのデモを聞いている時点で私が泣いていますから。

常見:お二人の人生の半分以上は、PERSONZでの活動が占めるわけじゃないですか。30年も続く原動力に、PERSONZの仲間が絶えない理由があると思います。

JILL:私の場合は、目標があるから続けられましたね。ただバンドブームの頃にすごく売れたときは、逆に目標がなくって。

その後、窮地に落ちてもやめなかったのは渡邉君のおかげですね。彼は「やめない美学」があるって言っていましたけど

渡邉:PERSONZの音楽は僕と他のメンバー3人じゃないと絶対に成立しないんです。僕も他のバンドのメンバーとして誘われることもありますが、それって、僕じゃなくても出来ることなんですね。

でも、PERSONZのベースは僕じゃないと出来ません。だから、PERSONZのベースとして、やり続けること、まっとうすることが僕の音楽家としての存在理由だとは思っています。

JILL:私たちのミュージシャンとしての人生は、もしかしたらこの武道館が終着駅かもしれません。ただ来てくれたお客さんはきっと「もっと前からPERSONZのライブに行けばよかった」と後悔する、それほどすごいライブをお届けできると思うんですね。

それを武道館で知ってほしい。とにかくここに来て、PERSONZを感じて欲しい。それだけですね。

常見:「DEAR FRIENDS」のMVには、ファンのコメントがいっぱい登場していて。その中に「おばあちゃんになっても、PERSONZのファンよ」と言っていた方がいました。

おばあちゃんにはまだなっていないと思いますが、あの時見ていたファンも、最近ファンになった人も、集結するといいですね。ありがとうございました!

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いやあ、夢のような時間だった。インタビューをしたころには、まだ『夢の凱旋』は発売されていなかったのだが、その後、入手。PERSONZの過去・現在・未来が交差する、あったかい音だった。

みんな、PERSONZの武道館への『夢の凱旋』を目撃しようぜ!


【公演情報】
DREAMERS ONLY SPECIAL 2014-2015 ROAD TO BUDOKAN FINAL

【日程】2015年6月26日(金) 開場18:00/開演19:00
【会場】日本武道館
※開場・開演は予定であり、変更になる場合もございます。
【席種・料金】一般指定席:8,000円(税込)
【年齢制限】3歳以上有料/3歳未満は膝上鑑賞のみ無料。
【電話受付】
・PERSONZオフィシャル予約番号:0570-08-9920
(全日 10:00~18:00/オペ レーター対応)他、各プレイガイド、コンビニエンスストアで販売
中。
【公式HP&詳細】
http://roadtobudokan.personz.net/

(文/しらべぇ編集部・Sirabee編集部

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常見陽平コラム取材PERSONZ
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