新型コロナウイルス第8波が到来 政府は早急に「5類」相当へ変更すべきだ

【舛添要一『国際政治の表と裏』】コロナ感染が拡大し第8波だというが、これからどうなるのか。厚労大臣として新型インフルエンザと戦った私の経験から説明する。

2022/12/10 17:00

コロナワクチン

ここに来て、新型コロナウイルスの感染がまた拡大してきた。11月後半になってから、新規感染者が全国で10万人を超える日が増えてきた。この傾向は今後も続くものと思われる。専門家は、第8波の到来だという。

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■新型インフルエンザの体験

感染者が増えているのは、コロナに感染しても重症化しなくなったために、国民の不安感、警戒心が薄れ、感染防止対策が不十分であったり、人出も多くなったりしているからである。また、寒くなったために窓を開けて換気することが少なくなったことも影響している。

私が厚生労働大臣だった2009年、新型インフルエンザが世界的に流行し、日本にもウイルスが到来した。空港での水際対策、イベントの中止、マスク不足など、今回のコロナと同じような大混乱となった。

まさに不眠不休で対応し、ワクチンも大臣命令で海外から輸入し、約7千万人分を確保した。また、現場の医師の協力も仰いで、患者の症状を分析し、最良の治療法を確立するのを急いだ。その結果、既存のタミフルなどの治療薬の有効性が確認され、国民に安心感が広まり、数ヶ月後には鎮静化に向かったのである。


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■感染症対策の基本

感染症対策の基本は、「検査と隔離」である。人類は、様々な感染症と格闘してきた。たとえば、「黒死病」と呼ばれ恐れられたペストは、ヨーロッパの歴史を変えるくらいのインパクトを持った。

中世から、感染者を隔離することで感染の拡大を防いできた。今日ではまず、検査し感染を確認したら隔離するという方式が定着している。今でも、それを最も忠実に履行しているのが中国で、武漢でコロナが発生した直後の初期対応で失敗した反省から、感染を確認した地域では毎日のようにPCR検査を行い、都市封鎖で住民を他の地区から遮断する。これまでは、この方式が一定の成果を上げてきた。


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■中国国民の不満

しかし、余りにも規制が厳しく、仕事にも行けず、外出もできず、日常生活に大きな支障を来している。その不満が爆発したのが、ゼロコロナ政策に反対する抗議活動である。デモは北京、上海、南京、広州など全土に拡大し、共産党や習近平の退陣を求める声すら上がったのである。

発端は、11月24日に新疆ウイグル自治区のウルムチで起こった事件である。都市封鎖のためにマンションの火災現場で救助活動が遅れ、死者10人、負傷9人という大惨事となってしまった。マンションの入り口に鍵がかかっていたそうだ。

習近平政権は、この抗議活動に危機感を抱き、規制緩和の方向に動き出した。


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■2類か5類か

日本の感染症法では、感染症法を危険度を基準に1類〜5類に分類している。最も危険な1類は致死率の高いエボラ出血熱、ペストなどである。新型コロナウイルスは次の2類にされており、ジフテリア、SARS(重症急性呼吸器症候群)と同じ扱いである。5類にはインフルエンザが分類されている。

この3年間私たちが経験してきたように、2類だと保健所が中心となって、厳しい規制措置が採られる。濃厚接触者となっただけで、外出もできないようになる。その一方で、ワクチン接種料金や医療費は無料である。

コロナが5類に変更されると、規制は緩くなるが、医療費は自己負担である。


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■現状をどうみるか

新型コロナウイルス・COVID-19・SARS-CoV-2

新型コロナウイルスは、変異を繰り返しながら、次第に弱毒化していった。重症化したり、亡くなったりする人が激減している。そこで、欧米などでは、もう普通の風邪と同じ扱いになっており、人々はマスクもしていない。カタールのサッカーW杯でも観客はノーマスクである。

そうなったのは、ワクチンが普及し、多くの人が免疫を持ったこと、経口治療薬(飲み薬)も開発されたこと、検査が容易にできるようになったことなどが背景にある。

新型コロナウイルスが弱毒化した今、規制によって日常生活ができなかったり、経済活動が制限されたりすることは賢明ではない。日本も早くコロナを2類から5類へ変更すべきである。


■執筆者プロフィール

舛添要一

Sirabeeでは、風雲急を告げる国際政治や紛争などのリアルや展望について、元東京都知事で政治学者の舛添要一(ますぞえよういち)さんが解説する連載コラム【国際政治の表と裏】を毎週公開しています。

今週は、いまだ感染拡大が止まらない新型コロナウイルスをテーマにお届けしました。

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(文/舛添要一

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