25日の金曜日、なぜか全世界で「恋に落ちる」人類が続出 30年も待たせやがって…

UKロックリスナーが、こぞって「30年前の楽曲」を聴き始める事態に。何が起こっているかというと…。

2022/11/25 16:30

1週間後に封切りとなる映画『THE FIRST SLAM DUNK』の原作漫画『SLAM DUNK』は、内容の面白さはもちろんのこと、数々の名台詞・名シーンで高い人気を博している。

なお現在、ネット上では世界中のロックリスナーが、同作キャラクターの「メガネ君」こと小暮公延の名台詞さながらの勢いで「30年間も待たせやがって…!」と、喜びの悲鳴を上げていることをご存知だろうか。


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■「デラックス盤」はどれも違う

The Cure

今回注目したいのは、本日25日にリリースとなった英ロックバンド・The Cure(以下、キュアー)の1992年作『Wish』(以下、ウィッシュ)の30周年記念エディションの発売である。

この手の音源収集に興味がない人からすれば、同一のアルバムを大量に収集している人物の行ないが理解できないことと思うが、基本的に名盤と呼ばれるアルバムはリリース10年目、15年目を節目の年とし、リマスターが施されたり、豪華特典や追加音源を伴うデラックス盤として再発されるケースが非常に多い。

こうした再発というのはもちろん一度きりとは限らず、節目となる年を経て「20周年盤」「30周年盤」「40周年盤」がリリースされ、その度に音質が向上したり特典も豪華になっていくのが常。

…しかし、もちろんオリジナルとなるアルバムは全て同じなため、特にこだわりが無ければこれらのコレクターに対し、「同じアルバムを何枚も持っている」という、身も蓋もない印象を抱いてしまうのも無理ない話である。


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■そもそも「キュアー」とは?

しかし今回の『ウィッシュ』の記念盤は、世界中のロックファンから「待望」という言葉が生温く感じられるレベルで「渇望」されていた代物。

まず、キュアーについて簡単に説明させてもらうと、同バンドは1978年に結成され、数々のメンバーチェンジを経て現在まで活動を続けている。イギリスをはじめとする諸外国では圧倒的な人気を誇っており、19年には「ロックの殿堂」を果たすなど、世界的なロックバンドである。

日本では一般的な知名度は低いものの、スピッツや初期のL’Arc〜en〜Cielなど、サウンド面でキュアーに影響を受けたバンドは多数。07年開催の『FUJI ROCK FESTIVAL 07』では堂々の初日ヘッドライナーを務め、じつに23年ぶりとなる来日公演は、日本中のロックファンの胸を熱くさせた。

そうした高い人気や実績もあり、キュアーのアルバム群は05年〜06年の期間中に多くの作品がリマスター化された「デラックス盤」として再発され、10年には89年作『Disintegration』のリマスター音源が販売。『ウィッシュ』は92年の作品なので、順当にいけば12年に「20周年記念盤」がリリースされる…はずであった。


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■この曜日にこの音源が聴ける奇跡

しかし12年にはデラックス盤は発売されず、17年にも「25周年盤」はリリースされなかった。つまり世界中のキュアーファンは、その多くがリマスターされた音源に混じって『ウィッシュ』の楽曲のみ、92年のサウンドで聴くジレンマを強いられていたのだ。

そこに来てようやく、22年11月25日に「30周年盤」が発売されたため、世界中のキュアーファンが歓喜の声を上げているのも納得だろう。

The Cure

また、キュアーといえば「暗いサウンド」が特徴的で、この持ち味を突き詰めた84年作『Pornography』、89年作『Disintegration』、00年作『Bloodflowers』の3作品は、ファンの間では「暗黒三部作」として高い評価を博している。

アバウトタイム

しかし『ウィッシュ』には、キュアー44年の歴史の中で、誰もが認める最強のポップソング『Friday I’m in Love』が収録されているのだ。リチャード・カーティス監督の映画『アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜』では同楽曲が非常に効果的に使用されており、同作を観て興味を覚えた人もいるのではないだろうか。

The Cure

奇しくも『ウィッシュ』豪華版がリリースされたのは、同楽曲名と同じ金曜日。本日は世界中のロックファンが音源に耳を傾け、キュアーと共に「金曜日の恋」に落ちているはずである。

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